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2019年度 六月合宿

期 間:令和元年6月14日~6月20日

場 所:場 所:北アルプス 穂高連峰涸沢周辺

参加者:

L 3年 小菅悠人

  2年 鎌田諒 河野宝 齊藤孝太郎 鈴木真太朗 丸山瑞貴

  1年 石井壱征 梅津拓弥 橋本哲 名取智陽

OB 廣瀬健太 福留邦晃 井上徳孝 高野優 西出広平 岩附正樹

 

6月15日() 雨

上高地 (5:45)~明神(6:30)~徳沢(7:40)~横尾(8:40)~涸沢(BC)(12:25)

 

バスタ新宿から夜行バスに乗り上高地へ向かう。上高地では雨が降っていたので雨具を着て出発する。川を左に見ながら林道をひたすら進んでいくと明神に到着する。明神館の方に挨拶をして、着替えをデポする。雨が降り続くなか徳沢、横尾で梅津の荷を抜き休憩を挟みながら歩き続ける。横尾大橋を渡り、本谷橋を目指す。本谷橋を渡ると本格的な登山道となる。途中から所々雪渓が現れるので、ピッケルとオーバー手袋、スパッツを身に着ける。本谷橋を過ぎたあたりで岩附OBと合流する。そして、樹林帯の斜面をトラバースして進む。すると、涸沢ヒュッテ直下の雪渓に直面する。足を滑らせないように雪にしっかり蹴りこみながら最後の力を振り絞り登りきる。テント場は雪に覆われ上部にも雪がうっすら付いている。涸沢ヒュッテに到着後すぐにテントを張り冷蔵庫を掘りこの日の行程を終了する。この日、ラジウスの火が弱く食当がスムーズに行かなかった。

 

6月16日() 雨 8

BC(7:10)~雪上訓練開始(のコル下部)~BC(12:15)

 

雨が降り続いているため、テントで天気が回復するのを待ちながらラジウスの点検と教養を行った。しばらく待っても天気は回復しそうになかったので、短い時間で集中して雪上訓練を行うことにした。BCを出発しⅤ、Ⅵのコルの下部の雪渓を登り、そこで雪上訓練を行った。内容としては雪上歩行と滑落停止、スタカットの確認、最後にFix工作の要領を理解するため競争形式の訓練を行った。終始気温が低く、雨風共に強かったため、一同は寒さに震えながらの雪上訓練となった。雪上訓練を終え速やかに帰幕する。帰幕後、テント整備とお茶作りに分担して行動した。テント整備は6人用テントのポールが突風に影響で折れていたため交換、全てのテントのペグが雨で雪が解けて浮いてきたため、スコップで掘りなおして埋めた。終始、雨風が強く突風もあるため、全身びしょ濡れになった。お茶の時間に福留OBが入山された。衣服が濡れていたため、ラジウスの火を焚いた状態で暖を取ることにした。また、体温保持のため毛下着の上下を着用した。

 

6月17日() 曇 5

BC(5:05)~ゴジラの背(7:05~8:00)~東陵のコル(8:35)

~北穂高岳(9:50)~最低コルの手前 (12:05~12:30)~BC(12:50)

 

前日の夜に激しく雨が降ったが、朝には止み、予定通りBCを出発することができた。雪渓はそれほど固くなく登りやすい。所々夏道が出現し、小石や岩の多い道を進む。北穂沢カールのトラバースの手前でハーネスとヘルメットを装着する。北穂沢カールから東稜の最低コルまでの雪渓のトラバースは上級生が一年生の下に付いて登っていく。東稜の最低コルからは横尾谷側へ回り込み、ゴジラの背の取り付きへ向かって岩稜を登っていく。所々岩の表面が凍結している箇所があり、足を滑らせる危険があったので注意して登る。ゴジラの背の取り付きに到着し、ピナクルで自己確保をとり、Fixを張る。Fixは齊藤がリードし、小菅が後ろからついていった。中間支点は、ハイマツ、残置ハーケンなどで豊富に取ることができる。途中の大きな岩を横尾谷側から乗越す場面では、雪付きが多く、危険であったためリードを齊藤から小菅に交代する。終了点はピナクルでとり、Fixの回収は河野と岩附OBが行った。顕著なナイフリッジを抜けると、懸垂地点たどり着き、残置の捨て縄を利用し、5m懸垂を行った。北穂高岳へは急傾斜の岩稜を登る。北穂高岳小屋の下のガレ場を登り、木でできた短い梯子と石段を上がると北穂高岳北峰に到着する。記念撮影後、南峰へ向かって岩稜帯を進み最低コルを目指す。例年になく岩に雪が付き、凍り付いていたため下りは上級生が一年生の下に付き、注意しながら下っていった。ほどなくして最低コル手前のコルに到着した。ここからも凍り付いた、あるいは濡れた岩場が続くと予想され、時間が遅くなってしまうことや数名の学生が頭痛を訴えていることを懸念し、このコルから下降することにした。一気にBCへ駆け下る。BC到着後、連日の風雨でテントの張りが弱くなっていたので、場所を変えて張り直した。その後、福留OBが下山され廣瀬OBと西出OBが入山された。

 

6月18日() 晴のち曇 8

BC(5:10)のコル(5:55~6:40)のコル(9:20)

~Ⅲ峰取り付き(9:35~11:45)峰頂上(12:45)~前穂高岳(14:00)

~下降開始(14:30)~Ⅲ・Ⅳのコル(15:30~17:00)~BC(17:40)

 

大人数の行動で時間がかかることが予想されたため、朝食の時間を1時間早めた。テントから出ると雲の隙間から見える青空が好天を予感させる。風がかなり冷たく感じられたため毛下着の上下を身に着けたまま行動を開始する。BCよりⅤ・Ⅵのコルを目指して雪渓を詰めていく。Ⅴ・Ⅵのコルでハーネスとヘルメットを装着し、寒さ対策に雨具の上を着る。ピッケルは邪魔になるのでザックの中にしまい、概念文に従ってⅤ峰に続く階段状のリッジを進む。始めは浮石の存在と高度感によって緊張感が漂っていたが、天候が良く快適に進むことが出来た。途中Ⅳ・Ⅴのコルから先はバンドを涸沢側へ進む。道が分かりづらく戸惑うが、所々ハーケンが撃ち込まれているため注視しながら進んだ。奥又白池側のバンドから稜上に伸びるガリーを右上し、涸沢側に乗越す際は岩が脆くなっているのでホールドを慎重に選ぶ。ここがルートファインディング核心部だと考えられる。その後ガレた稜線を辿って登るとⅣ峰に着き、少し急な斜面を下るとⅢ・Ⅳのコルに着く。ここで岩附OBがⅢ・Ⅳのコルより延びる雪渓から下山された。岩附OBを見送った後、事前に打ち合わせていた通り、小菅=橋本=西出OBパーティーが一足先に取り付きへと向かい登攀を開始する。先行パーティーのフォロワーが登り始めるタイミングに合わせて後方のパーティーのリードが登り始めるという形で、鎌田=名取=鈴木パーティーが続き、丸山=梅津=廣瀬OBパーティーと河野=石井=齊藤=井上OBパーティーも順に取り付いた。

 

〈登攀〉

1ピッチ目 支点から奥又白池側へ巻き、大岩を一段上がる。そこから奥又白池側に切れ落ちた岩壁をトラバース気味に左上し、広めのテラスでピッチを切る。トラバースはルートがわかりにくく時間がかかった。後続はリッジまで出て、凹角下までロープを伸ばした。

 

2ピッチ目 先頭はテラスから涸沢側へ右上し、リッジ上のガレ場を登った後、凹角を登らずに奥又白側の一番左のフェースを登り、チョックストーンの上に出てピッチを切る。後続は巨大なチョックストーンが詰まった凹角の一つ右側の本を開いたような凹角から登り、さらにチョックストーン上部のフェースを越えた広いテラスでピッチを切る。

 

3ピッチ目 先頭は概念文には手足共にしっかりとしたホールドがあるフェースを登るとあるが、今回はフェースの左側にあるチムニーを登った。登り切った後は稜上を忠実に進み、凹角手前でピッチを切る。後続はチムニーの出口にある大きな1枚岩の割れ目にカムディバイス2つを使って支点を作成した。

 

4ピッチ目 幅の広い緩傾斜の凹角を登る。登りきった所で、奥又白池側にある大岩を乗越すとⅢ峰頂上で、ここで登攀を終了する。

 

登攀中に天候が悪化し時間にも余裕がなかったため、Ⅲ峰頂上より先はパーティーの前方にいた小菅、鎌田、橋本、西出OBが前穂高岳山頂を目指す。稜上を忠実に登り、Ⅱ峰頂上手前は涸沢側に巻く。Ⅰ・Ⅱのコルへ向かうための懸垂支点へはかなり慎重に向かう。ピナクルに支点が取られていた支点を使って5m程懸垂下降をし、Ⅰ・Ⅱのコルからガレ場を少し行くと前穂高岳山頂に辿り着く。ここで記念撮影をし、速やかに来た道を引き返す。Ⅰ・ⅡのコルからⅡ峰への登攀は懸垂下降で使用したロープをトップロープとして活用し、安全を確保した。4人がⅢ峰頂上へ戻った後は、全員がⅢ・Ⅳのコルへ向かって懸垂下降の準備をしていた。懸垂は全部で3ピッチあり、1ピッチ目はⅢ峰登攀の終了点で支点を取って50m懸垂を行い、2ピッチ目はチムニー下部のテラスから25m懸垂、3ピッチ目は涸沢側凹角手前のテラスで支点を取って再び50m懸垂を行った。井上OBが2ピッチ目の懸垂支点を作成するためにハーケンと捨て縄、3ピッチ目の支点の補強にアングルと捨て縄を使用した。3ピッチ目の懸垂では脆い岩多く落石があったが、全員が無事に懸垂を完了させた。Ⅲ・ⅣのコルからBCへの下り始めは急斜面で霧も濃かったため100mFixを1ピッチ張った。Fix通過後は安定して斜面を下ることが出来、駆け下る者もいた。最後は全員が走って帰幕し、テント場ではこの日入山された高野OBが待機していた。全員で整理体操を行い、今日の行動を終了した。

 

6月19日() 曇のち雨 7

BC(6:10)~白出のコル (8:00)~奥穂高岳山頂(9:10)

~白出のコル(9:50)~BC(11:50)~雪上訓練(12:10)~BC(12:55)

 

起床後、梅津が体調不良を訴えたため大事をとってテントキーパーとする。計画では滝谷で登攀を行う予定であったが、これまでの雪付きの様子などから困難だと判断し、奥穂高岳に登ることとした。BCを出発し雪渓を登っていく。大きな岩が見えてきたあたりで一度休憩をとり、さらに急な雪渓を登ると穂高岳山荘に着く。ここで安全のためヘルメットとハーネスを装着し、穂高岳山荘の前で集合写真の撮影を行う。その後、早下山をする河野、齊藤、名取は廣瀬OBと共に雪渓を下っていった。残りの者は奥穂高岳の頂きを目指して先へと進む。気温が低く、雨が降りそうだったので、出発してすぐに雨具の下を着用した。途中、鎖場や梯子のある岩稜を行くが、目印が多く迷う心配は無い。白い矢印を忠実に辿って行った先に奥穂高岳の山頂があり、そこで記念撮影を行う。この時点で風が強く視界も悪かったため、下りは登り以上に慎重に進んだ。穂高岳山荘から少し下った斜面でグリセードの訓練を実施し、技術の習得を確認した後、駆け下ってBCに帰幕する。井上OB、高野OB、西出OBの下山を見送った後、BC近くの雪渓でコンテ・スタカットの訓練を行い、再びBCに帰幕してこの日の行動を終了した。

<早下山組>

BC(6:10)~白出のコル(8:00)~BC(9:40〜10:40)

~横尾(12:30)~徳沢(13:50)~明神(14:40)~上高地(15:40)

 

 河野、齊藤、名取は授業の関係で1日早く下山する。全員で、白出のコルを登った後、廣瀬OBと共にコンテニュアス、グリセードの練習をしつつ白出のコルの急登からBCへと下った。EXP6人用テント、ダンロップ6人用テント撤収後下山を開始する。屏風ノ頭が見えたあたりから連日の雨のおかげで、雪が溶け、夏道が出ていて歩きやすかった。本谷橋手前でスパッツ、オーバー手袋を脱いだ。横尾で井上OB、高野OB、西出OBと合流し早歩き気味に上高地までの長い林道を進んだ。河童橋に着いてから雨が降り始め、急いで上高地へ向かった。

 

6月20日(木) 晴 

BC(6:00)~横尾(8:00)~徳沢(9:00)~明神 (9:30)

 

雨が降ることもなく、好天に恵まれる。BCを撤収して下山を始める。雪が凍って固いところに注意しながら雪渓を下る。夏道に入り体温が上昇したので、途中でカッターシャツとオーバー手袋を脱ぐ。また、水が凍り滑りやすいところが増えていた。本谷橋まで下ると雪がほとんどなくなり、ここでスパッツとピッケルをザックにしまう。本谷橋から林道を進み、横尾大橋を渡ると横尾に到着する。横尾から徳沢までは平坦な道が続く。徳沢で小休憩を挟み、最後の力を振り絞り明神を目指す。全員が明神に到着後、整理体操を行って六月合宿を終了した。

 


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東京農業大学 常盤松会館本館3F 農友会山岳部