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2022年度 春山合宿(笠ヶ岳南西尾根)

期 間:2023年2月28日~2023年3月5日

場 所:北アルプス 笠ヶ岳 南西尾根

 

行動概要:2月27日 離京 バスタ新宿~平湯温泉

2月28日 入山 平湯温泉~笠谷~南西尾根取り付き(C1)

~1380m付近デポ地点~C1

     3月 1日 C1~1621m付近(C2)~1380m付近デポ地点~C2

     3月 2日 C2~2180付近デポ地点~C2

     3月 3日 C2~2300m付近(AC)~2180m付近デポ地点~AC

     3月 4日 アタック AC~笠ヶ岳~AC

     3月 5日 下山 AC~C2~C1~笠谷

 

2月28日 晴

笠谷(7:40)〜南西尾根取り付き(C1)(10:20)〜1380m(14:15)〜C1(15:40)

平湯から路線バスを使い笠谷で降りる。着替えなどをデポして合宿を開始した。まずは舗装された林道を進んでいく。すぐにあるトンネルを抜けゲートを抜けると道は段々悪くなっていった。積雪はほとんどなく、快調に進んで行く。砂利道や所々ある足首ほどの高さの積雪、小さな沢を越えていく。3分の1ほど進んだ所で一度休憩を挟み笠谷から2時間40分ほどでC1に到着した。予定より早くC1に着いたため翌日に備えテントを立てた後、荷上げに出発した。尾根末端からだと急斜面を登ることになるためヒアケ谷を渡渉し小ルンゼから取り付いて1231m過ぎのコルへと向かっていく。膝ほどのラッセルを進み尾根へと乗り上げる。尾根上に積雪はほとんどなく藪漕ぎとなる。1260m付近の岩峰はロープを出さず笠谷側を巻いたが、尾根上へ戻るルンゼはかなり急であるためアンザイレンすべきであった。その後尾根は細く急になっていく。1330m付近の凍った斜面から福島リードで40mFixを張った。岩峰が見えた辺りで、ピッチを切った。岩峰は笠谷側に巻きザクザクの雪を進み尾根上に戻る。尾根上を藪漕ぎしていき1380m地点でデポしC1へと引き返した。テープをつけながら下り、1260m付近の急斜面を石井リードで30mFixを張った。そのまま尾根上を進んで、C1へと帰幕した。

文責:福島

 

3月1日 晴 2℃

C1(5:20)~1320mデポ地点(7:00)~1620mのコル(C2)(10:50)~逆歩荷出発(11:20)

~デポ地点(13:10)~C2(14:50)

 昨日と同様の道を進む。尾根上まではトレースが残っていて登りやすい。尾根上では所々氷化しており注意して歩く。初めの岩峰は笠谷側へ昨日設置したFixを使って素早く登る。初めのFixは回収しながら登った。次のFixは回収せず通過し、デポ地点に到着した。デポ地点通過直後に岩峰があり、笠谷側に巻いた。概念では笠谷側へ伸びるワイヤー沿いにロープを出す予定であったが、必要は無かった。その後も一部氷化した部分があった。しばらく進むと1430m付近に岩峰があり、スノーソーで木を伐り進もうとするが滑落の危険があるためヒアケ谷側に巻いた。このトラバースもロープは出さなかったものの足場が少ないため危険であった。その後1450m付近の急斜面は氷化しており、50mFixを張る。Fixを張ったがまだ斜面は続き、さらに50m張る。Fixは連結し、支点は木で取った。ここを過ぎるとC2までは平坦な道が続く。C2到着後は急いでテントを立て、逆歩荷へと向かう。テープを意識しながら来た道を戻りデポ地点まで行く。所々にあるFix以外の危険箇所には、スリングを木に巻いて補助のスリングを作り進む。日差しが強く雪が緩んでいたため、下りやすくなっていた。デポを回収しC2へ向かう。途中の1430m付近の岩峰は雪が少ないときは、上を通るよりもヒアケ谷側に巻いた方が、ワイヤーが出ているため通りやすいことに気が付いた。デポを回収後、Fixを利用してC2へと帰幕した。

文責:神山

 

3月2日 雪 0℃

C2(6:20)〜2180m付近デポ地点(11:40)〜C2(14:30)

未明から予報通り雪が降っており、ワカンを付け出発する。緩い傾斜を、先頭を交代しながらラッセルし登っていく。しばらく登ると第1岩峰が見えてくるが、岩峰をヒアケ谷側に巻きハイマツを掴みながら尾根上へ戻った。Fixはしなかった。笠谷側は切れ落ちているため注意しながら進む。第2岩峰は一度岩峰まで登り上げるが乗り越えるのは困難であるため、ヒアケ谷側に一度降りてから巻いて尾根上に戻った。尾根をしばらく進むと第3岩峰手前で傾斜の強い斜面が現れる。ここを登り上げると第3岩峰の基部に到着する。岩峰をヒアケ谷側にトラバースする。その後ヒアケ谷側に滑落に注意しながら下る。しばらくトラバースしていくと雪崩そうな斜面があったため、一人ずつ慎重に通過する。こちらもFixはしなかった。通過後は尾根上へ向けて傾斜の強い斜面となり、登り上げて尾根上に出る。笠谷側の雪庇に注意しながら、軽いアップダウンを繰り返し進んでいく。尾根から少し下った2180m付近で天候が悪化してきたため荷物をデポした。デポ地点から下る際に2150m付近でフラッグを立て、テープを意識しながら下りC2へと帰幕した。

文責:鈴木

 

3月3日 晴 -8℃

C2(5:40)〜2300m(AC)(10:55)〜2180m付近デポ地点(13:15)〜AC(14:15)

ワカンとヘルメットを付け、速やかにテントを撤収し出発する。前日の雪でトレースは少々埋まっていたがうっすら残るトレースを進んで行けばサクサクと進むことができた。前日と同様の道を先頭を交代しながら進み、第一岩峰手前でハーネスを付ける。引き続きトレースを進み、1990m付近の雪崩斜面を横切る際に雪崩を危惧し福島リードで40mFixを張った。フラッグやテープを意識しつつ急斜面を登りきり尾根上に出た。稜線を快調に進み、2203m付近にフラッグを立て北東へ進む。デポ地点を通り過ぎ、雪庇に注意しながらラッセルしていく。尾根上の樹林帯をアップダウンしながら進み、尾根が広がってきて斜面を登り切るとわずかなプラトーとなり、ここをACとした。テントを速やかに立て、逆歩荷へと向かう。トレースに沿ってテープをつけながらデポ地点まで向かう。デポ地点で装備をザックに詰めて休憩後、ACまで1時間ほどで戻った。この日はAC入りを記念し、石井からのサプライズソーセージに舌鼓を打った。

文責:福島

 

3月4日 晴 -9℃

AC(5:15)~2338m(7:35)~笠ヶ岳(9:00)~2338m(10:20)~AC(11:30)

 ラテルネとワカンを付けて出発する。AC出発時点で少し風があった。2417mピーク直下までは膝くらいのラッセルで先頭を交代しながら進む。2417mピーク直下でワカンからアイゼンに付け替える。ここからはクラストしているところが多く歩きやすい。テープやフラッグを意識しながら進んでいく。雪庇は笠谷側に出ているため、注意して進む。尾根上では風が強く、風の防げる2338mの樹林帯で休憩する。北から風が吹き続け、遠くから大きな雲がかなりの勢いで迫って来ていた。双六岳や黒部五郎岳などが見えていたが、すぐに雲に覆われてしまった。2338mからは岩肌が出始め、ガスもかかる。フラッグを意識しながら2780mのJPまでの緩い斜面を進む。JPに着く頃にはガスも過ぎ去って日が差していた。さっきまでは見えていなかった笠ヶ岳が姿を現し士気が一気に上がる。JP直後、岩峰があり直登するのは危険であったため小倉谷側へ少し巻いた。ここからは特に風が強く、雪庇も緑ノ笠側に出ているため慎重に進む。頂上直下では岩が顕著に出ているため注意して進む。ここを過ぎるといよいよ頂上だ。頂上は快晴で、槍ヶ岳や穂高岳、双六岳や黒部五郎岳などが見え、一年を締めくくるには最高の景色であった。また、本年度の冬山合宿で行った中崎尾根も見えたがあの尾根は、やはり依然として長かった。記念写真を撮り下山を開始する。岩肌にアイゼンを引っかけないように注意する。2338mで休憩を取るがこのあたりからガスがかかり始め、風は弱くなる。気を抜かずACまで戻りこの日の行動は終了した。この日は多めに紅茶とココアを作ったが多すぎて飲み切るのに時間を要した。SDの焼きそばを食べているときに夕焼けと雲海を見ることができた。明日はついに下山だ。

文責:神山

 

3月5日 晴 -6℃ 

AC(5:40)〜2150m(7:05)~C2(8:00)〜笠谷(14:10)

トレースもそれほど埋まっておらず雪も締まっていたため、つぼ足で下ることにした。トレースを辿り順調に進んでいく。しばらく進むと雪崩斜面のFix箇所に辿り着くが、小規模の雪崩が発生していた。一人ずつ慎重に通過した。その後トレースを辿ってC2に到着する。ここから雪の量が減るが、氷化している箇所が出てくるため油断せず下っていく。Fixロープを先行する福島と神山に渡し、下部で回収した最下部のFixを先に張ってもらう。Fix地点までも氷化している危険箇所が多くあった。最下部のFix地点で合流し、一度休憩をしてから一気に下る。C1からの林道は半分ほどまで雪が残っている。ここから先は夏道のようになっていて快調に下り、笠谷に到着し春山合宿は終了した。

 

文責:鈴木


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