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2022年度 春山強化合宿(八ヶ岳)

 

期 間:2023年2月7日~2023年2月12日

場 所:南八ヶ岳

 

行動概要:2月 7日 離京 入山 八ヶ岳山荘~美濃戸山荘~行者小屋(BC)

     2月 8日 BC~文三郎尾根~赤岳~横岳~硫黄岳~BC

     2月 9日 BC~赤岳主稜~赤岳~文三郎尾根~BC

     2月10日 BC~阿弥陀岳北稜~阿弥陀岳~BC

     2月11日 BC~中山尾根~地蔵尾根~BC

     2月12日 下山 BC~石尊稜~地蔵尾根~BC~八ヶ岳山荘

 

2月7日 曇 

八ヶ岳山荘(11:30)〜美濃戸山荘(12:30)〜1950m(13:50)〜行者小屋(15:40)

富士見駅からタクシーで八ヶ岳山荘まで行き、着替え等をデポして出発する。舗装道を進み美濃戸山荘を目指す。道は少々凍っていたが歩くのに問題はない。1時間程で美濃戸山荘に到着し休憩をとった。休憩後、南沢方面を進んでいく。道は踏み固められていたが重荷のため足取りは重い。1950m付近で休憩を挟み進んでいく。何度か橋を渡り、しばらく進むと沢筋で樹林帯が開ける。そのまま沢筋を進み、また樹林帯に入ってしばらく進むと行者小屋に到着した。整地をして幕営し、この日の行動を終了した。

文責:福島

 

2月8日 晴れ -6℃

BC(6:30)~赤岳(7:50)~横岳(9:30)~硫黄岳(10:30)~BC(12:20)

 アイゼンを装着し文三郎尾根を登っていく。朝から気温が高く、尾根の途中でカッターシャツを脱いだ。そこから少し上がり、赤岳主稜の取り付きを確認した。右手には阿弥陀岳が見え、北稜、北西稜の位置も確認できた。順調に足を進め稜線に出ると、西風の強い岩稜となり少し登ると赤岳山頂に到着する。山頂からは360℃景色を楽しむことが出来た。そこから岩稜を注意しながら下り、赤岳頂上山荘で休憩をした。その後稜線を進んでいくが、日ノ岳辺りから雪が少なくなり、アイゼンを引っ掛けないよう注意しながら進む。横岳直下のリッジは雪が多いと危険であるがうっすら夏道が出ており問題なく通過した。横岳から下り硫黄岳山荘辺りから、アイゼンが要らないほど雪がなくなった。しばらく登ると、硫黄岳に到着する。硫黄岳から下り始めてすぐに大同心稜から登ってきた高野OBと合流した。ここから樹林帯でつづら折りの雪道を下っていく。赤岳鉱泉から行者小屋へ向かう途中、中山尾根、石尊稜へのトレースを確認した。帰幕後、お茶を飲みさらに小屋の方から頂いた差し入れで英気を養った。

文責:鈴木

 

2月9日 晴れ -17℃

BC(6:20)~赤岳主稜取り付き(7:15)

【福島=神山=石井】

登攀開始(7:30)~登攀終了(12:00)

 【高野OB=鈴木】

 登攀開始(8:15)~登攀終了(12:10)

 ~BC(13:30)

 

昨日と続いて晴れており絶好の登攀日である。アイゼンを装着し文三郎尾根を登る。石碑の一段下まで行き、取り付きへトラバースする。取り付きまでは傾斜が強く慎重に進む。積雪が少ないからか、雪崩の危険性は低かったためザイルは出さず進む。取り付きにはボルトが二つ打ってあり明瞭であった。

1P:チョックストーンのあるチムニーを登る。手と足の位置を確認しながらの登攀となる。チムニーは上部で左右に分かれており右側を登った。チムニーを登った後はリッジを右上しハンガーボルトのあるテラスでピッチを切った。

2P:4mほどの岩壁を直上した後、雪稜に出る。50mいっぱいにあるハンガーボルトでピッチを切った。

3P:2ピッチ目の後半と同様に雪稜を進む。雪稜を進むと岩壁に突き当たる。岩壁には捨て縄が明瞭に残っているが、そのルートは非常に難易度が高いため、赤岳沢側に少し巻いてハンガーボルトでピッチを切った。

4P:2m程岩壁をトラバースした後、凹角に取り付く。垂直であるが手足共にしっかりとしている。凹角を登った先のテラスでピッチを切り、その先は危険個所が見受けられなかったため、登攀を終了した。

 ザイルと登攀具を片付け、赤岳頂上山荘まで登り休憩を取る。頂上で写真を撮った後、文三郎尾根へ向かいBCへ戻る。今日下山される高野OBに挨拶をし、この日の行動を終了した。

文責:神山

 

2月10日 雪 -7℃

BC(6:20)~阿弥陀岳北稜取り付き(7:20)

【福島=神山=井上OB】

登攀開始(7:35)~登攀終了(9:45)

【鈴木=石井】

登攀開始(7:50)~登攀終了(9:45)

~中岳沢コル(10:20)~BC(11:00)

 

 昨日とは打って変って雪が降っている。朝食後に井上OBと合流する。文三郎道へ行き、分岐点で阿弥陀岳方面へ向かう。トレースはしっかりと残っていた。急な雪壁を登り、JPに到着する。ナイフリッジを通過し草付きの急登となるが、危険だと判断した場合にはここからアンザイレンしても良い。登りきると岩峰へ着き、登攀の準備をする。

1P:正規の直登ルートを行く。手足のホールドも豊富にある。岩峰を登ると5m程の無いフリッジに出るので慎重に進む。ナイフリッジを抜けると岩峰に突き当たりハンガーボルトでピッチを切る。

2P:岩峰をやや右上気味に登る。こちらもホールドが豊富にあるため問題なく登攀できた。雪稜を進んだ先の灌木でピッチを切った。

3P:雪稜を進む。危険個所はなかったが、練習も兼ねてグリップビレイで先へ進む。その先の灌木でピッチを切った。

4P:頂上間近ではあったが練習も兼ねて、再びグリップビレイで先を偵察する。少し先は頂上だったので、灌木でピッチを切り登攀を終了した。

 阿弥陀岳山頂で写真を撮った後、ホワイトアウトしていたためすぐに下山を開始するが、頂上は視界が悪く下山道を模索する。北稜方面に戻るとすぐに登山道が確認できた。下山中も風は強く雪が顔に当たって痛い。目出帽をしっかり付け、顔を手で覆い顔面凍傷に気を付ける。本来は中岳を越え文三郎尾根から下る予定だったが、あまりにも風が強く顔面凍傷の危険性もあったことに加え、雪付きが少なく雪崩の危険性も少ないと判断したため中岳沢を下ることにした。雪崩を起こさぬよう慎重に下っていく。沢が広くなると走ってBCへ帰幕した。時間もあったためBC帰幕後は埋没訓練を行った。実際に雪に埋まってみると雪の重みで肺が圧迫されて呼吸がしにくい。雪崩遭遇後はいち早く救出しなければならないことがよく分かった。ホワイトアウト時のルートファインディングや埋没訓練が経験でき濃密な一日となった。

文責:神山

 

2月11日 晴れ -10℃

BC(6:20)~中山尾根取り付き(8:20)

【石井=神山=福島】

登攀開始(8:30)~上部岩壁(11:50)~登攀終了(14:00)~休憩終了(14:40)~BC(15:30)

【丸山OG=鈴木=井上OB】

登攀開始(10:00)~登攀終了(15:10)~BC(16:15)

 

行者小屋から赤岳鉱泉方面へ向かう。緩い傾斜を登ると中山乗越へ到着する。ここから中山尾根の取り付きへ進むが、前日の雪でトレースが完全に消えていた。全員で交代しながらラッセルをして進んでいく。登りきるとリッジが現れ、リッジ手前でカッターシャツ、ハーネス、ヘルメット、アイゼンを装着した。その後すぐ登攀を開始した。

1P:一度正面の壁の直上を試みるが難易度が高く、右へトラバースし凹角を登る。トラバースもスタンスが細かいため注意が必要だ。途中左右に凹角が分かれるが、左のラインの方が比較的簡単に登れる。登りきった所にあるハンガーボルトでピッチを切った。

2P:左上気味にトラバースし、草付きを登っていく。しばらく登った稜上でピッチを切った。

3~5P:上部岩壁までは草付きの雪壁をスタカットで進んだ。概念よりも急登となるので、危険と判断した場合はザイルを出しても良い。支点は立木で豊富にとれる。

6P:初めはスタンスの細かいスラブを登っていく。難しく感じるがよく見るとアイゼンの跡が残っているため苦労はしない。その後すぐにオーバーハングした凹角に突き当たる。凹角は手足を突っ張るように登り、抜け口にはしっかりした手のホールドがある。難しいがハンガーボルトが多く打ってあるため安心感が増す。凹角を抜けるとすぐにピッチを切った。

7P:トサカ状岩壁までリッジが続き、岩壁下の支点でピッチを切る。ここで先行パーティとシーバー交信をし、帰幕時間を考慮し先に下ってもらうことにした。

8P:トサカ状岩壁は左から巻くことも出来るが、そのまま乗越すことにした。6ピッチ目と似たムーブで、徐々に体を上げ通過しピナクルでピッチを切る。

9P:連続してザイルを出し、日ノ岳をトラバースし一般道に合流する。

日ノ岳の基部でザイル、登攀具をしまい地蔵尾根へ向かう。鎖やハシゴに注意しながら下っていく。分岐からしばらく下り、危険な箇所を通過した所でハーネスとアイゼンを外した。ここからBCまで駆け下った。BCで入山された岩附OBと合流し、お茶を飲み行動を終了した。

文責:鈴木

 

2月12日 曇後晴

BC(5:05)〜石尊稜取り付き(7:10)

【井上OB=鈴木=神山】

登攀開始(7:25)〜登攀終了(11:10)~BC(12:20)

【石井=丸山OG】

登攀開始(8:00)〜登攀終了(11:40)~BC(13:00)

【岩附OB=福島】

登攀開始(8:30)〜上部岩壁(10:05)〜登攀終了(11:50)~BC(13:00)

~BC出発(13:45)〜美濃戸山荘(15:00)〜八ヶ岳山荘(15:50)

 

この日は3パーティーでの登攀のため、下山の時間を鑑み出発を1時間早めた。2日前の降雪からラッセルが必要だと判断したため出発時にハーネスは装着せず、速やかに体操を済ませ赤岳鉱泉への道を進む。登山道をトレースに沿って進んでいき、橋のある開けたところで登山道を外れ沢の方へと進んだ。ここからはトレースがほとんどなくラッセルとなるためワカンを装着した。うっすらと残るトレースを辿り、沢筋を進んでいく。しばらく進み顕著な小同心ルンゼの分岐を右に進む。またしばらくすると、三叉峰ルンゼの顕著な分岐があり、これを右へ進む。三叉峰ルンゼを進み急な斜面になったあたりで左手のコルに向かって登った。尾根に乗り上げ安定した場所でワカンをアイゼンに装着しなおし、カッターシャツ、ハーネスを装着して、細い尾根を登った。正面の岩壁を右に回り急な岩と草のある雪面を登り石尊稜の取付きについた。井上OB=神山=鈴木、石井=丸山OG、岩附OB=福島の順番で登った。

 

1P:最初はスラブ気味の岩壁を登っていく。安定した場所に乗り上げ少し右側からまた登っていく。左側も凹角気味になっており進むことができる。右側は傾斜が少し強いがスタンス、ホールド共にしっかりしており見た目ほどの難易度はなくスムーズに登ることができた。岩壁を登りきり草付きの斜面を左上していき安定したテラスで灌木でピッチを切った。

2P:コンティニュアスで雪稜を登っていく。急な痩せ尾根を抜けて傾斜の緩い雪稜を抜け上部岩壁についた。

3P:傾斜はあまりない凹角の岩壁を登っていく。ピッケルを利用しながら登り30m程のピナクルでピッチを切った。

4P:痩せた尾根を少し進み傾斜の緩い雪稜に出る。30m程登りピナクルでピッチを切った。

5P:緩い傾斜が続いているためコンティニュアスで進んでいく。正面に岩壁を見て右上していきしばらく進み左手を登っていくと石尊峰に到着し登攀を終了する。

 

先に到着していた井上OB、鈴木、神山は石井、丸山OGと合流し先に行く旨を報告した後、BCへと出発した。石井、丸山OGは岩附OB、福島と合流した後BCへと出発した。日ノ岳方面へと稜線上を進んでいく。20分程で地蔵尾根の分岐へ到着する。急な斜面の地蔵尾根をトレースに沿って進んでいく。急斜面であり鎖が雪で埋まっているためアイゼンを引っ掛けないよう注意して下っていく。樹林帯に入ってくると傾斜が一度緩くなる。傾斜が緩い場所を抜けるとまた急な斜面が少し続く。そこを抜けると緩い斜面が続きアイゼン、ヘルメットを外し行者小屋まで走り抜けた。既に着いていた井上OB、鈴木、神山と行者小屋で合流しテントを撤収した。テント撤収の後、小時間の休憩を挟み下山を始めた。トレースを辿って所々にある凍った道に注意しながら下り、1時間半程で美濃戸山荘に着いた。美濃戸山荘で休憩を挟み、八ヶ岳山荘までの舗装道を走り抜けて春山強化合宿を終了した。

文責:福島

 

 


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東京農業大学 常盤松会館本館3F 農友会山岳部