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2023年度 冬山合宿

期 間:2023年12月26日~2024年1月1日 

場 所:北アルプス 涸沢岳西尾根

行動概要:12月26日 離京 バスタ新宿~平湯温泉~新穂高ロープウェイ

入山 新穂高ロープウェイ~穂高平避難小屋~柳谷付近

27日 ~1550m取り付き(C1)      移動

 ~2150m              荷上げ   

日 ~2400m(AC)          移動 逆歩荷

29日 ~2900m              ルート工作 

日 ~涸沢岳 

31日 停滞

1月 1日 ~新穂高ロープウェイ           下山

 

 

12月26日 晴

新穂高ロープウェイ(13:00)~穂高平避難小屋(14:20)~柳谷付近1430m(15:00) 

高速バスで新宿から平湯温泉まで行き、路線バスに乗り新穂高ロープウェイへ到着した。到着後、雨具下、スパッツを着け、合宿を始めた。新穂高ロープウェイは観光客で賑わっており、天候は合宿初日にふさわしい快晴だった。新穂高ロープウェイから林道を登っていき、5分ぐらい歩くと分かりやすく堤防が出てくる。そこで着替え、運動靴、ごみ、ピッケルカバーなどをデポしていった。林道は雪が少ないうえに、除雪されたようにラッセルされており、スムーズに進むことができたが、少し上り坂となっていた。20分ほど歩いたところで酒井が眼鏡をデポしてしまったことに気づき、福島が取りに戻った。また徐々に登っていき、大きくカーブし、少し登ると穂高平避難小屋に着いた。ここにもラッセルの跡があったが、周りの雪の深さは20cmほどあった。この日は予定では穂高平避難小屋までであったが、時間と体力に余裕があったため先に進むことにした。またなだらかな登りを進んで行き大きくカーブすると柳谷に到着した。テント2張りが設営できるスペースがあり、近くに川があったのでここを幕営地とすることにした。雪質が非常に細かく踏み固めるには限度があったがある程度踏み固め、幕営した。水は川で汲むことができたが、水に濡れないように注意しながら慎重に行った。手袋をしておらず、手が少しかじかんできたがお茶にするとすぐに温まった。ここでこの日の行動を終了した。夜寝ている間にも入山者の声が聞こえてきていた。 

 

12月27日 曇後晴 -2℃ 

柳谷付近(6:25)~1550m(1)(7:20)~1900m(9:50)~2000m付近Fix地点(11:00)

~2150mデポ地(13:15)~C1(16:00) 

テントを撤収し、出発する。出発前に目出し帽を脱ぎ、雨具上下、スパッツ、ラテルネ 、テムレスを着用して出発する。1年生は、ザックのバックルが寒さで凍り、動かしにくくなっていたことに苦労した。あたりはまだ薄暗く、ラテルネをつけなければ足元がはっきりとは見えない。昨日から引き続き、1に向けて緩やかな登りを進む。1まではトレースもしっかり残っており、遅れる者もおらず順調に進むことができた。30分ほど歩いたところで暑くなってきたため、雨具の上を脱ぎラテルネもしまい、素早く再出発する。白出沢を越え、道なりに続く登山道を進み途中で西尾根に乗り上げる。少し進むと開けたC1予定地の1550mに到着しここにテントを設営することにした。雪が例年に比べて少なく、テント整地のため雪を少し掘ると、すぐに地面や石、笹が出てきて整地に苦労する。約1時間でテントを張り終え、時間がまだあるため荷上げの準備を行う。荷上げする荷物と最低限の個人装備をザックに詰め、雨具上を着用して荷上げに出発する。1からの登りは終始笹が生い茂り、非常に歩きにくい。笹が顔に刺さりながらも、段差のある登りなどは笹の枝をつかみながら、樹林帯を黙々と登る。1900m付近での休憩で、ハーネスとヘルメットを着けた。2000m付近まで登り、急雪壁に30mほどFixを張った。この日のFixは神山が全てリードした。1年生らはアッセンダーを最大限に使ってFixを通過していく。Fixの終了地点から少し登った2100m付近で40mほどFixを張る。ここの開始点では、つかみづらい木の根と岩があり、その部分が少々登りにくい。中間支点までは急雪壁をトラバースするようにロープを張る。中間支点部分は、木の根がむき出ており、足場が少なくアッセンダーの掛け替えに苦労した。このロープの終了地点から、また樹林帯の急登を進んでいくが、下山の所要時間を考慮し、2150m付近の少し開けた場所をデポ地とした。休憩時に周りを見ると、雪をかぶった山々が太陽に照らされ、まぶしかったがとてもきれいだった。福島と神山でデポ地から先の様子を20分ほど偵察しに行っている間、残っている者でデポするものをまとめた。このとき、ワカンもデポした。休憩をはさんだ後、下山時はFix地点を懸垂下降で下りる。懸垂下降の待ち時間も、少し行動を止めただけでもからだの芯まで冷えてくる。また笹の生い茂った下り坂を一気に下る。笹で滑りながらも無事にC1に到着し、この日の行動を終了する。 

 

12月28日 快晴 -6℃  

C1(6:30)~1900m(7:40)~ 2000mFix地点(8:40)~2200mFix地点(12:00)~ AC(14:00) 

月が良く見える快晴の中、ACへと出発する。目出帽、雨具上下、スパッツ、ラテルネ、テムレスを着用した。C1から出発してほどなくして明るくなってきたので、ラテルネの明かりを消した。先日の荷上げの際より重量があるためか1年生の足取りは重くなかなか速度は出ない。暫く進み、倒木を乗り越える場所で佐藤が足を滑らせ脇腹を打ち、全体から遅れる形となった。昨日のトレースは残っており、1900mで休憩をとった。その際にヘルメット、ハーネスを着用し、目出帽とラテルネをしまった。佐藤は遅れが続いたため荷抜きを行った。その後2000m付近まで登り、先日と同じように1年生はアッセンダーを利用し、1つ目のFixを通過した。1つ目のFixと2つ目のFixは余り離れていないのに加え、Fix通過には時間がかかるため、Fixを回収するグループと先行して2つ目のFixを登るグループに分かれた。Fix回収の際にはロープの結び目が凍り付いていたり、負荷が掛かって結び目が固くなったりと時間を消費した。2100mのFixは前日と同じく木の根や露岩が多く、重荷でもあったため登りや掛け替えに時間がかかった。また、落ちてしまう者もいたため、回収も含め全員が到着するのにはかなりの時間がかかった。それから樹林帯を登っていき、前日デポした2150m地点を通り過ぎて暫くした2200mの岩混じりの痩せ尾根に45mほどFixを張った。大岩を乗越す必要があるため、アイゼンを装着した。支点・終了点は灌木で取ることが出来る。Fix終了点からまた樹林帯を黙々と登っていく。1時間程度で2400mのAC地点に到着した。そこから全員で整地を行い、逆歩荷を行うパーティ(福島、神山、佐藤、山下)、テント設営を行うパーティ(鈴木、大場、酒井)に分かれて行動した。逆歩荷を行うパーティはヘルメットとハーネス、アイゼンを着用してから出発した。ACからデポ地点の2150m付近までは軽荷で下りの為、20分ほどでスムーズに移動できたが、Fix地点では上級生が1年生の前について慎重に下った。デポ地で荷物を回収した後、休憩を挟みACまで再出発する。1時間程でACに到着し、この日の行動を終了した。また、逆歩荷隊がACに到着してからすぐに西出OB、丸山OGと合流した。 

 

12月29日 晴 -6℃

AC(6:00)~2600mJP(7:00)~JP後Fix1P目(7:10)~Fix2P目(7:50)~Fix3P目(8:20)

~F沢のコル(9:00)~最終Fix地点(11:00)~AC(13:00)

アイゼン、ラテルネ、雨具、スパッツ、ヘルメット、目出帽、テムレスをつけてACを出発する。薄暗い中、トレースをたどっていく。始めは広い尾根だったが段々と狭く急になっていった。木がまばらになると2600m付近のJPに着く。JPには既に何本かフラッグがさしてあり我々もフラッグを目印にさして先を進む。稜線からは横から冷たい風が吹くが、雨具のフードを被るなどして寒さをしのぐ。程なくして露岩があり、Fixを張るか迷ったがここは張らず、露岩を右から巻いて進んだ。岩と雪の混じった道を進むと残置ロープがある急登が現れここからFixを張ることにした。 

1ピッチ目 40mほどの急登を登る。雪が少なく傾斜もきつくないため順調に進む。中間支点は灌木でとることができた。ロープが残置されていたが、かなりの時間放置されていたのかボロボロだった。残置ロープの終了点にはピナクルが大量にとられていた。登り切ると安定したバンドに出たためここでピッチを切る。 

2ピッチ目 バンドからすぐ2P目を開始する。始めはホールド、スタンスを確認しながら岩の隙間にアイゼンの刃を効かせながら登る。中間支点はハイマツでとった。10mほど登った後、少し急な場所を進み、道が緩やかになったあたりでFixを終了した。合計で30mほどFixを張った 

Fix終了後、広い尾根に出て蒲田富士に着く。雪が少ない影響で稜線の雪庇はあまり発達していなかった。雪庇に注意しながら白出沢側をトレースやハイマツの際を進んでいく。稜線は段々と細くなり、F沢のコル手前のナイフリッジで60mほどFixを張る。 スタカットで神山がナイフリッジを渡っていく。途中でロープを連結しながら慎重に進む。中間支点にはスノーバーを使用した。ナイフリッジを超えるとF沢のコルへ向かう急な下り道を上級生が一年の前を歩く形で慎重に下った。F沢のコルからは岩が出た坂を進みルンゼの手前からFixを張った。ルンゼからのFixは急斜面が続き、下るのに時間がかかるためFix開始地点で西出OB、大場、酒井、佐藤はACへ向けて下山した。丸山OG、福島、鈴木、神山、山下はFixを張るために残った。F沢のコルを超えたルンゼへのFixは岩稜の基部か岩稜の間にある小さなルンゼからFixするか検討したが、間にあるルンゼから進むことが十分に可能だったためそちらから進んだ。1ピッチ目と2ピッチ目は神山、3ピッチ目は鈴木がリードをした。

1ピッチ目 開始点の近くに支点となるモノがなかったため、5mほど下にあるハイマツで支点を取った。始めは歩きやすかったが段々と傾斜がきつくなる。ルンゼと岩稜の境目を雪崩に注意しながら進むが雪が少ないため順調に進んでいく。中間支点はハイマツや灌木でとりFixを連結して進んで行く。

2ピッチ目 より傾斜が厳しくなり、周囲に掴めるようなものがなくなってきた。ピックをハイマツ混じりの雪面に突き刺しながら40mほどでピッチを切る。ピッチを切る際、信用できる支点がなくハイマツを掘り出したがかなりの時間がかかった。

3ピッチ目 稜線に向かって登っていく。ここではハイマツや岩が周囲にあったため登りやすかった。ハイマツを使い40mほどでピッチを切ったが、ロープに余裕があったためピナクルで支点を取るべきであった。 

テラスに出た後に鈴木、神山は他に危険箇所がないか偵察を行った。雪はほとんど無く岩が転がっていた。この先にロープを張るような箇所がないと判断したため、ルート工作を終えACへの帰路につく。下る際はPASを使用し、山下の下には上級生がつき転落しないように慎重に下った。下る際には、今まで取った中間支点を確認しながら下りトレースを辿ってACに到着した。

 

12月30日 快晴 -6℃ 

AC(5:45)~蒲田富士(6:30)~涸沢岳(8:45)~F沢のコル(10:40)~AC(12:10)

 食当がコッフェルを倒してしまい飯が30分遅れる。岩附OBは4時ごろに入山された。毛手袋、オーバー手袋、アイゼン、ラテルネなどを装備し出発する。先発した登山客の方がおり、トレースは消えていなかった。順調に蒲田富士手前のFix地点に到着した。Fix通過は上級生・OBが一年生を見ながら登る。蒲田富士からのナイフリッジもトレースが残っており、雪庇を踏み抜かないように注意しながら進んで行く。この辺りから日が登り始めラテルネを消す。ナイフリッジの1PのFix通過も滞りなく行えた。F沢のコルからのルンゼのFixもアッセンダーでガンガン登っていく。2900mのFix終了点に着き、岩と雪交じりの尾根を登る。左側が切れ落ちており滑落に注意する。風が強く顔面凍傷になる恐れがあるため目出帽をしっかり着ける。クラスト斜面を進む中、所々に乗越すような場所や、躓けば谷底に落ちてしまうような場所があった。小ピークを越えると稜上に出る。どうやら数人の一年生はここが山頂だと勘違いしていたらしい。稜上ではより風が強い。稜上からも岩混じりの同様の道を進んで行き、涸沢岳山頂に着いた。山頂からは槍ヶ岳や前穂高岳、奥には立山などが見えた。写真を撮りすぐに下山を開始する。下山も気が抜けず、一年生の前に必ず上級生が付いた。酒井は西出OBとロープを結び下山する。ルンゼのFix通過はPASで通過した。回収は福島、岩附OBが行った。下級生は西出OB、丸山OGと先に下り、ナイフリッジからのFix回収は上級生と岩附OBで行った。回収も滞りなく終えられ、無事にACに着くことが出来た。アタック成功を祝い、プリンとココアを食べた。 

 

12月31日 雪 0℃ 停滞 

訓練開始(7:00)~訓練終了(11:30) 

 それほど寒くなかったが、早朝から降雪が続いていた。下山することも可能だったが、冬山の生活技術などを習得するため停滞することとなった。天候悪化が予想されていたためか、他のパーティは下山していった。朝飯を食べ準備を済ませ、テント内の荷物を移動させ一つずつテント整地をし直した。その後ビーコンでファインサーチの練習をし、4人パーティでの雪崩捜索の訓練を行った。雪崩捜索はシグナルサーチから掘り出すまでを実践的な斜面で行うことができた。人の埋まることのできるくらいの積雪があったため、埋没訓練も行った。外から声掛けをしてみたが、埋まった人の声は外にはほとんど聞こえてこなかった。一度休憩をはさみ今回の合宿でできなかったラッセルの訓練を行う。つぼ足の後はワカンを付けて同様の訓練を行う。すべての訓練終了後に昼飯のペペロンチーノを食べた。その後降雪量が増えてきたため、みんなでテントラッセルを行った。 

 

1月1日 曇 -6℃

AC(6:45)~2200m(7:00)~2100m(7:40)~2000m(8:20)~C1(9:45)~新穂高ロープウェイ(11:20)

 

暗がりの中テントを撤収しアイゼン、ハーネス、ヘルメット、テムレスを付け体操をする。ラテルネをしまい出発した。久々の重荷の中、薄いトレースを辿っていく。行動開始から樹林帯を進んで間も無く最初のFix地点に着く。神山が先行し1人ずつ岩稜を懸垂下降で下っていく。回収は福島と岩附OBが行った。回収している間に他のメンバーには先に進んでもらった。Fix終了点からは滝谷側が切れ落ちているため注意して進む。ピンクテープを見ながら尾根状を快調に進んでいく。登りよりも雪が多く、木の根や笹が雪の下に埋まっているので下りやすい。急坂を下っていき二箇所目のFix地点につく。登りは40mほど張った場所だったが雪が多く途中の大岩を右に巻くことができたため10mほどの懸垂下降で下りることができた。雪が多い場合は2100m付近の急雪壁にFixを張る際、途中の大岩を左に巻いたほうが進みやすいだろう。懸垂下降終了後は福島、鈴木、大場、山下で先行して回収は他のメンバーに任せた。五分ほどで三箇所目の残置ロープがあるFix箇所に着く。福島が先行し懸垂下降を行った。そこまで急ではないが念のため50mの懸垂下降を行った。全員が懸垂下降を終え、先に来たものは終了点で休憩をとった。回収は鈴木に行ってもらい回収が済んだ後また出発した。ここからは特に笹が繁茂していくがアイゼンを付けていれば笹で足を滑らせることはない。何組かの入山者と道を譲り合いながらピンクテープに沿って進む。1800m付近の平坦地を超えまた急坂に入っていく。しばらく進みまた道が平坦になるとC1はすぐである。白出沢を超えた平坦地で休憩をとり、雨具下を残しそれ以外のヘルメット等の装備はしまった。小休憩の後、新穂高ロープウェイを目指して進む。入山者が多いためトレースはしっかりついておりスムーズに進んでいく。穂高平避難小屋に30分ほどで着き、そのままロープウェイに向けて進んでいく。着替えなどをデポした500mほど手前から走り、デポ地まで駆け抜けた。デポを回収した後ロープウェイまでの短い距離をまた走り新穂高ロープウェイに到着した。ロープウェイで体操を行い皆で握手を交わして冬山合宿を終了した。


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東京農業大学 常盤松会館本館3F 農友会山岳部